間質性肺炎の急性増悪 acute exacerbation of Interstitial lung disease

間質性肺炎の急性増悪とは

・慢性経過の間質性肺炎において、

  1. 1ヶ月以内の経過で
  2. 呼吸困難の増悪
  3. 画像検査で両側すりガラス影、浸潤影の出現や増加
  4. PaO2の有意な低下

がみられるものを急性増悪とされている。

・なお、感染症、心不全、肺塞栓症などの除外も重要。特にステロイド治療や免疫抑制薬を定期内服しているケースでは日和見感染のリスクが高いことに留意する。特にニューモシスチス肺炎(β-Dグルカン、喀痰検査など)、CMV肺炎(アンチゲネミア)、他の真菌感染症(β-Dグルカン)、レジオネラ肺炎(喀痰検査、尿中抗原など)、アスペルギルス症(抗原検査)などの可能性も必要に応じて想定する。

主な鑑別疾患

・間質性肺炎の急性増悪と鑑別を要する疾患として、健常者にも発症し得る急性間質性肺炎や、種々の原因により生じるARDS(急性呼吸促迫症候群)、肺胞出血、急性好酸球性肺炎、急性過敏性肺炎、急性心不全、肺血栓塞栓症、細菌性肺炎などが挙げられる。

・鑑別には病歴、身体所見、血液/画像検査所見のほか、生活歴や呼吸機能検査など、総合的な判断を要する場合もある。

治療

・肺炎などの感染症の除外が重要であり、実際、細菌感染症は頻度が高いため、適切に培養を提出したうえで抗菌薬治療を開始させる

・また2011年の国際ガイドラインでの推奨はないものの、AZMに免疫調節効果があることが示されており、特発性肺線維症(IPF)の急性増悪における前向きコホート研究で注射用AZM 500mg/日 5日間投与によりHR 0.29と統計学的有意差をもって60日時点での死亡率低下が示されている。必須とまでは言えずとも、初期からの投与を検討しても良いかもしれない。

急性増悪時のステロイド治療は有効性が確立しているとまではいえないが、使用を提案されている。確固とした用法、用量のコンセンサスはないようであるが、ときにステロイドパルス療法(mPSL 500~1,000mg/日 3日間)を行い、症状の改善次第で、1週間おきに数回繰り返す場合がある。その後、PSL 1mg/kg/日(1週間)、PSL 0.5mg/kg/日(1週間)と漸減して、その後は数週間から数ヶ月かけて、再燃がないことを確認しながら慎重に漸減することもある。

・また、免疫抑制薬としてシクロスポリンやタクロリムスを、抗線維化薬としてニンテダニブなどを使用するケースもあるようだが、ここでは記載を割愛する。

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<参考文献>

・Raghu G, Collard HR, Egan JJ, Martinez FJ, Behr J, Brown KK, Colby TV, Cordier JF, Flaherty KR, Lasky JA, Lynch DA, Ryu JH, Swigris JJ, Wells AU, Ancochea J, Bouros D, Carvalho C, Costabel U, Ebina M, Hansell DM, Johkoh T, Kim DS, King TE Jr, Kondoh Y, Myers J, Müller NL, Nicholson AG, Richeldi L, Selman M, Dudden RF, Griss BS, Protzko SL, Schünemann HJ; ATS/ERS/JRS/ALAT Committee on Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med. 2011 Mar 15;183(6):788-824. doi: 10.1164/rccm.2009-040GL. PMID: 21471066; PMCID: PMC5450933.

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