LongitudinalityとContinuity -長期的な全人的関係に基づくケア-
LongitudinallyとContinuityの区別
・RogersとCurtisは医療におけるLongitudinality(縦断性)とContinuity(継続性)とを明確に区別しようと試みた。
・プライマリケア領域では患者と医療提供者との長期的な関係性が重視され、AlpertとCharneyはこのような関係性を”縦断的責任(Longitudinal responsibility)”と呼んだ。
・Longitudinalityとは特定の疾患に限らず、患者が決まった場所または専門職を通常の受診先として選び続けることであり、患者の選択行動が主な決定要因となる。これは患者と医療者との間の相互理解を深め、円滑なコミュニケーションを可能にする。
・一方で、Continuityとは医療の”連続性”、すなわち特に単一のプロブレムについて長期間診ていくという意味に相当する。継続性は構造的要因(診療場所, システムなど)に依存し、フォローアップの効率化や診断の連携を意図している点が特徴的である。
・Longitudinalityと異なり、Continuityは患者側がコントロールできる範囲が狭く、医療機関や医療の運用体制によって左右される点でも異なる。
・換言すれば、特定のプロブレムに関わらず、いつでも頼れる場としての医療機関があり、そこの医療者と患者がお互いの人となりを知っているような関係性を伴うことがLongitudinalityといえる。
プライマリケアにおけるLongitudinality
・プライマリケアの本質は問題の有無やその性質に関わらず、継続する患者-医療者関係の維持にある。
・必要に応じて専門医の診察がなされることでContinuityが中断されることはあるが、Longitudinalityは保たれていることがあり、そこに中核的な特徴がある。
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<参考文献>
・Starfield B. Continuous confusion? Am J Public Health. 1980 Feb;70(2):117-9. doi: 10.2105/ajph.70.2.117. PMID: 7352602; PMCID: PMC1619187.