木村病 kimura disease

木村病とその疫学

・木村病(kimura disease)は慢性経過で主に頭頚部領域の深部皮下やリンパ節に炎症性肉芽腫を形成する疾患である。

・1937年にKimとSzetoらによって”eosinophilic hyperplastic lymphogranuloma”として初めて報告され、1948年に木村らにより”on the unusual granulation combined with hyperplastic changes of lymphatic tissue”というタイトルのPaperで報告された。

アジア人で、特に中年男性に好発する。また、アジアのなかでも中国人、日本人において比較的多くの報告例がある。

・発症のピークは30代である。

病態生理

・木村病の病因および病態生理は不明である。ただし、良性疾患として分類されることが多い。

・アレルギー反応、感染症、免疫反応の異常などが関与していることが示唆されている。

・好酸球、肥満細胞、IL-5およびIgEの上昇は異常なT細胞刺激が存在することを示唆する。

臨床的特徴

・木村病は主に頭頚部領域の深部皮下やリンパ節に炎症性肉芽腫をきたす良性疾患である。

局所リンパ節腫脹唾液腺腫大を伴うことは少なくない

発熱や体重減少などといった全身症状を伴いにくいことも特徴である。

血液検査

IgE高値、末梢血好酸球増多がみられやすい。

病理学的検査

・木村病を疑った場合には生検を行い、診断することとなる。

・病理所見の詳細についての記載は割愛する。

鑑別診断

・木村病の主な鑑別診断としては好酸球性血管リンパ球増殖症(ALHE)、ホジキンリンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ランゲルハンス細胞組織球症、キャッスルマン病、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、薬物過敏症、寄生虫が関連したリンパ節炎などが挙げられる。

・ALHEは以前の文献では木村病と同一疾患とみなされることが多かったが、現在では異なる疾患であると認識されている。たしかにALHEも30~40代で、頭頚部に腫瘤性病変として出現することが一般的であるが、ALHEが血管における腫瘍性病変であるのに対し、木村病は慢性炎症性疾患という差異がある。またALHEでは局所性リンパ節腫脹、末梢血好酸球増多、IgE高値がみられることは稀である。

治療/予後

・主な治療法には外科的切除が挙げられる。

・そのほか局所あるいは全身性のステロイド投与、化学療法、放射線療法などの治療も検討されることがある。

・緩徐な経過をたどり、予後良好である。ただし、約60%の患者でネフローゼ症候群を合併するという報告もある。

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<参考文献>

・Abuel-Haija M, Hurford MT. Kimura disease. Arch Pathol Lab Med. 2007 Apr;131(4):650-1. doi: 10.5858/2007-131-650-KD. PMID: 17425383.

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