レジリエンス

レジリエンスとはなにか

・人生では誰もが予期せぬ展開を経験する。

・日常的な困難から、愛する人の死、人生を一変させる事故、重い病気などといった深刻な出来事まで、あらゆる変化が人々に影響を及ぼす。

・こうした変化は、人それぞれ異なる形で思考や感情、混乱が生じるが、多くの人々は時間とともにこれらの困難に適応していく。これを支えるのが「レジリエンス(resilience)」である。

・心理学ではレジリエンスを、逆境、トラウマ、悲劇、脅威、深刻なストレス要因(例:家庭や人間関係の問題、深刻な健康問題、職場や経済的ストレス)にうまく適応する過程と定義する。

・レジリエンスがあっても困難や苦悩の経験を回避できるというわけではない。

・重大な逆境やトラウマを経験した人の多くは、強い感情的苦痛を抱える。

・レジリエンスは一部の人だけが持つ特性ではなく、むしろ、それは誰もが学び、育むことができ、「行動」「思考」「実践」によって培われていく。

・筋肉を鍛えるように、レジリエンスも一定の時間と努力を要す。

・以下の4つの柱――「つながり(connection)」「健康(wellness)」「健全な思考(healthy thinking)」「意味(meaning)」――に焦点を当てることで、困難やトラウマに立ち向かい、成長できる力を高めることができる。

”つながり”を築く

①関係性を優先する:

・共感的で理解のある人とのつながりを有することにより「一人ではない」という感覚を持つことができるようになる。

・感情を受けとめてくれる信頼できる人と関係を築くことは、レジリエンスに不可欠。

・トラウマを経験すると孤立しがちであるが、助けを求めることは重要である。たとえば、配偶者と週に1回の外出をする、友人とランチに行くなど、心を許せる人との時間を意識的に持つようにすることなどが有効。

②グループに所属する:

・コミュニティの催しものなどに参加することで、社会的支援を得られたり、希望を持てたりする人もいる。

・自分にとって意義や喜びを感じられるようなグループを探すことがときに重要。

ウェルネスを育む

①自分の体を大切にする:

・セルフケアは精神的健康とレジリエンスの向上につながる。

・栄養、睡眠、水分、運動といった生活習慣を整えることは、ストレスへの適応力を高め、うつや不安の軽減に役立つ。

②マインドフルネスを実践する:

・日記、ヨガ、瞑想などの実践は、人とのつながりや希望の回復を促し、レジリエンスに備える一助となる。

・困難なときこそ、自分のポジティブな側面を意識することも大切。

③ネガティブな発散を回避する:

・アルコールや薬物などで苦痛を紛らわせることは避けた方がよい。

・ストレスを「消す」のではなく、「乗り越える力」を育めるようにする。

意味/目的を見出す

①他者を助ける:

・ボランティア活動を行ったり、困っている友人を支えたりすることは、自尊心や目的意識を高め、レジリエンスの強化につながる。

②主体的に動く:

・自身の感情を受け入れつつ、「この問題に自分ができることは何か?」と問い、自身をみつめる機会にする。

・大きな問題はまずは小さく分け、行動できる部分から始めることが肝要である。

③目標に向かって進む:

・達成可能な目標を設定し、スモールステップでも構わないので着実に前進できるようにする。

・「今日、確実にできることはなにか?」と考え、着実に進むことが自信につながる。

④自己発見の機会を探す:

・困難を乗り越えた経験から、より良い人間関係や自己理解を得たという人は少なくない。

・そうした経験が、自尊心や人生のへの満足感の向上につながる。

健全な思考(healthy thoughts)を持つ

①適切な視点で捉える:

・思考は感情やレジリエンスに大きく影響する。

・物事を悲観的に捉える傾向や、「自分だけが不幸」と考える癖に気づき、バランスのとれた現実的な視点を持つように努めるようにする。

②変化を受け入れる:

・人生には変化がつきものである。

・困難によって実現できなくなる目標もあるかもしれないが、変えられることに集中することで、前向きに進むことができる。

③希望を持ち続ける:

・つらいときこそ、良いことが起きると信じる姿勢が大切。

・恐れることよりも望むことに意識を向け、少しでも前向きな変化を感じるようにする。

④過去から学ぶ:

・以前の困難を乗り越えたときに役立ったものなどを振り返り、自分がどのように力を見出したのかを思い出してみる。

・それが将来への指針となる。

支援を求める

・レジリエンスを高めるには、自分のリソースや前述の戦略で十分な場合もあるが、停滞したり前に進めないと感じるときには、専門家の助けが必要になることもある。

・臨床心理士などの専門家は、前向きな一歩を踏み出すための適切な戦略を一緒に考えてくれる。

・トラウマやストレスのために日常生活がうまく送れないと感じた場合は、専門的な支援を受けることが重要。

・信頼できる相手と安心できる関係を築くことが、効果的な心理的支援の鍵となる。

・大切なのは、「一人ではない」と考えることである。

・すべてを自分でコントロールできなくても、支えてくれる人々とともに、乗り越えられる課題に集中することで成長していける。

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<参考文献>

・Building your resilience. American psychological association. https://www.apa.org/topics/resilience/building-your-resilience.

 (閲覧 2025年06月21日)

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