意思決定能力の評価 MacCAT-T

意思決定能力の評価

・法的および倫理的な観点から、インフォームド・コンセントを適切に得るためには、患者が推奨される治療に関して意思決定能力が必要とされる。

・もし患者の意思決定能力に疑問が生じた場合、臨床医はその能力を評価し、患者の意思が尊重されるべきか、あるいは代諾者による同意が必要かを判断する責任を負うことになる。

意思決定能力に関連する主要な要素について、一定の合意が形成されてきた。それらは以下の4つの要素である。

  1. 関連情報を理解する能力(understanding)
  2. 選択肢のリスクと利益について推論する能力(reasoning)
  3. 自己の状況や選択の結果を正しく認識する能力(appreciation)
  4. 治療選択を表明する能力(expressing a choice)

・これらの要素を評価するための方法は、過去にもいくつか提案されているが、それらの多くは、構造化された評価手法と柔軟な適用が両立できていない。

・特に、患者の個別の症状や治療選択肢に対応した評価を可能にする柔軟な手法が不足していた。

MacCAT-T(MacArthur Competence Assessment Tool-Treatment)は、このギャップを埋めるために開発されたツールであり、以下の特徴を持つ。

  1. 4つの主要能力領域に焦点を当てつつ、構造化された採点手順を提供
  2. 無制限の治療選択肢に対応可能な柔軟性
  3. 患者の個々の症状や治療計画に基づく評価が可能

・従来の評価手法に比べて、MacCAT-Tは、臨床現場での実用性を重視して設計されており、評価者間の信頼性も確保されている。

・わかりやすくPDFで解説されているものもある。

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<参考文献>

・Grisso T, Appelbaum PS, Hill-Fotouhi C. The MacCAT-T: a clinical tool to assess patients' capacities to make treatment decisions. Psychiatr Serv. 1997 Nov;48(11):1415-9. doi: 10.1176/ps.48.11.1415. PMID: 9355168.

・医療・介護分野における意思決定について 2019年11月10日

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