入院患者の身体拘束に対する患者親族の意見 physical restraint

概要

・身体拘束(PR: physical restraint)について患者の家族がどのように考えているかを明らかにすることを目的に実施された研究。

・身体拘束は通常、患者自身に不利益が生じないように実施される。具体的には転落とそれに伴う骨折などの合併症の防止のため、治療を適切に行うため、治療効果の向上などを目的に患者およびその家族の同意のもとに行われる。

・家族はときに十分な情報が提供されておらず、合併症をより大きく懸念していることが判明した。

・身体拘束により、患者は身体的、心理的、社会的な合併症を生じる可能性がある。

・身体拘束の実施率は国によって様々で、先進国では9~69%と幅がある。

・身体拘束の実施に伴う合併症としては皮膚の発赤/あざ/腫脹、筋力低下、褥瘡、骨折、呼吸困難、せん妄、抑うつ、恐怖心などが挙げられる。

・患者の家族にとって身体拘束は終着点のようなものと認識されることがあり、そのことにより患者の家族に失望感、怒りの感情などを引き起こさせることがあると報告されている。

研究の概要

・混合研究法(質的研究と量的研究の混合)

・研究対象者:2018年01月~同年12月に身体拘束が行われることのある病棟(内科, 呼吸器科, ICUなど)に入院した患者の家族984名。そのうち研究への参加に同意した277人を対象にし、22人はインタビューが行われた。

・質的データ:半構造化インタビュー(NVIVO11を用いた内容分析)

 (※事前に用意した質問をベースにしながら、状況に応じて追加質問などで深堀りする)

・量的データ:24の質問を含む「データ収集フォーム」を利用し、主に年齢、性別、患者との関係、身体拘束が行われる理由などを調査。

量的な結果(quantitative results)

・患者家族の62.1%(n=172)が男性、28.5%(n=79)が60歳以上、81.9%(n=227)が既婚、47.3%(n=131)が小学校卒業、57.4%(n=159)が患者の配偶者であった。

・研究対象患者のうち54.9%(n=172)が男性、58.1%(n=161)は意識障害のない患者、70%(n=194)はICU患者、55.2%(n=153)はGCS 8~11点の患者であった。

・身体拘束は男性患者および意識障害を有する患者において、より頻繁に実施される傾向があった。また身体拘束の期間が長くなるにつれて、患者の意識レベルがより低下する傾向にあった(P<0.05)

・身体拘束の実施に関するインフォームドコンセント(IC)は患者の配偶者、同居者、頻繁に患者を訪問する人から取得されていて、特に患者の配偶者であることが多かった(57.4%)。

・身体拘束が必要と考えた患者の家族では週6~7回面会する人が41.2%、不要と考えた人では週1~3回面会する家族が60.7%、判断しかねるとした家族では週6~7回面会する人が35.7%であり、これらの間に統計学的有意差があった。結果として、患者のもとを頻回に訪問する患者の家族において、最も身体拘束を必要と考える割合が高かった(P<0.05)

質的な結果(qualitative results)

・患者の家族の54.5(n=12)が女性で、平均年齢は59.86±9.43歳であった。大半が読み書きが可能で、患者と同居していた。また、全員が既婚者であった。

・回答者の多くが患者自身の身体を守るために行われるのが身体拘束の理由であると考えている。また、ほぼ全員が身体拘束は有効であると述べたが、拘束実施前に十分な情報提供がなされたわけではなかった。

・身体拘束に対する否定的な意見としては無力感、精神的苦痛、自由の制限などが挙げられた。なお、患者と同居している家族よりも患者と離れて暮らす家族の方が身体拘束に対して否定的に言及する傾向にあった。

―――――――――――――――――――――――――――――――

<参考文献>

・https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/25160435221102437

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です