GPの地方への定着を促進させる要因についての分析

背景

・地方のGPの定着には課題があることが知られている。特にイギリスにおいてはBurnout(燃え尽き症候群)が離職の要因の一つとされている。

・GPの地方への移住や定着においては仕事へのエンゲージメントを促進する要因を解明する必要があるかもしれない。

・本研究はスコットランドでなされた。スコットランドはいわゆる地方が国土の98%を占めるが、そこには人口の17%しか居住していない。地方における医療アクセスは課題として続いている。

・イギリス全体のGP数は減少傾向にあり、Burnoutを防ぐことも重要である。

・スコットランドのGPを対象にした44件の半構造化インタビューを二次分析した。

・地方でのGPの仕事にはBurnoutのリスクを伴うが、支援を最適化させることでエンゲージメントを促進させられる可能性が示唆される。

結果

 <Burnoutに関して>

・Burnoutにつながる障壁として①業務負担(workload) ②コントロール感の不足 ③報酬 ④コミュニティ ⑤公平性 の問題が挙げられた。

業務負担に関して、まず地方のGPは患者と過ごす時間は長い分、負担も大きく、救急対応の負担に関する責任も大きく、そのことも負担となっていた。また、GPとなるための研修が都市部におけるそれに偏重しているため、地方で必要とされるスキルが不足している場合もある。

コントロール感の不足に関して、GPは本来柔軟な働き方ができるものであるが、地方では各種リソースの不足によりそれが叶わず、自由度が低いことがある。

報酬に関して、地方における生活はそれ自体が魅力となり得る。しかし、給与などが低いと不満につながりやすいかもしれない。

コミュニティに関して、地方ではより強いコミュニティを有しやすいが、プライベートと仕事のとの境界が曖昧になることもある。また、プロフェッショナルネットワーク(professional network)の不足臨床的な孤立(clinical isolation)を引き起こすことがある。ここでいうプロフェッショナルネットワークとは同じ職業や専門分野の人々が繋がり、知識や経験を共有し、相互にサポートし合う関係を指す。臨床的な孤立を防ぐためには「地方で働くGP同士の定期的なミーティング」、「都市部の医師らとの連携(相談できる仕組みづくりなど)」、「大学などの教育機関とのつながり(スキルアップや学びの機会の確保)」、「オンラインでの情報交換ができる場(Facebookなど)」が有用かもしれない。

・公平性に関して、政策に関係する人との距離が遠く、GPの意見が反映されにくいかもしれない。

 <エンゲージメント促進にはたらく要因>

・エンゲージメント促進の働く要因として、①地方のGPの役割を明確化すること ②コミュニティが関与すること ③地方における研修を充実させること ④公平性の確保 が挙げられる。

・地方GPの役割に関して、地方のGPがどのような業務を担うべきかを明確化することが重要である。都市部のGPと比べると業務が多岐に渡る可能性があり、その役割が明確化されていないと、過剰な負担がかかったり、適切なサポートを受けられなかったりする場合がある。

・コミュニティの関与に関して、GPが地方に定着するためには地域社会によるサポートも必要であり、配偶者の雇用支援や子どもの教育環境の整備などが挙げられる。

・地方研修の充実化(rural training pathways)に関して、研修が都市部に偏重していることを是正し、地方でも実践的なスキルを身につけられる機会を提供できるようにする。

・公平性(fairness)の確保に関して、地方のGPの役割を適切に評価し、政策決定などにも反映させる。

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<参考文献>

・British Journal of General Practice 2025; 75 (752): e187-e194.

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