肋軟骨炎/胸壁症候群

肋軟骨炎とその疫学

・肋軟骨炎(Costochondritis)は胸痛の一般的な原因である。

40~50代に好発し、女性(69%)にやや多く発症する。

・プライマリケアにおいては胸痛の原因として最も多いのは筋骨格系の疼痛(31%)である。しかし、心血管系、呼吸器、消化器、精神性、心因などの鑑別も適切に行うべきである。

・たとえば胸壁に圧痛があれば、心筋梗塞の可能性は下がるが、除外できるほどの情報ではない。

鑑別診断

・胸痛の原因が筋骨格系の疼痛であると考えられるならば、鑑別診断として肋軟骨炎、筋損傷/Overuse、関節炎、線維筋痛症、悪性腫瘍、感染症、帯状疱疹、Tietze症候群、剣状突起症候群、Slipping rib syndromeなどを挙げるべきである。

臨床症状/身体診察

・肋軟骨炎では通常、深呼吸、咳嗽、ストレッチによって、両側性の傍胸骨痛が増悪する。

・主に上部胸肋接合部(主に第2~5肋骨)が侵される。

圧痛はみられるが、局所の熱感、腫脹、発赤は伴わない。

・身体診察では介達痛が認められる。詳細は別の記事でまとめてあるため、ここでは割愛する。

・なお、Tietze症候群もときに肋軟骨炎に類似した病像を呈するが、Tietze症候群では視診で腫脹が認められる点と、片側性で第2肋骨で生じる点が異なる。通常、Tietze症候群では感染性または外傷性に生じる。

臨床検査

・肋軟骨炎の診断に有用な臨床検査はなく、あくまで他の鑑別疾患の除外などを目的に検査が行われる。

・なお、ある研究では胸痛を主訴に救急外来を受診し、胸壁に圧痛が認められた患者の12%で急性心筋梗塞が認められたと報告された。

予後

・ある大規模な観察研究では新規に肋軟骨炎を発症した患者の91%は安静とNSAIDsによる保存的加療を3週間続けることで疼痛が軽減したことが報告されている。

・2年以内の再発率は約4%とされる。

胸壁症候群の原因/特徴/治療

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<参考文献>

・Mott T, Jones G, Roman K. Costochondritis: Rapid Evidence Review. Am Fam Physician. 2021 Jul 1;104(1):73-78. PMID: 34264599.

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