プライマリケアでのキャリア選択をする際の決定要因

SonJa R, et al. (2025). In Search of the Determinants of Primary Care Career Choice: A Wide-Angle Lens. Journal of General Internal Medicine.より

■内容:

・JGIM(journal of general internal medicine)では7つの内科系・プライマリケア系のレジデンシープログラムの修了生を対象にした研究を行い、結果としてレジデンシー修了後にプライマリケアの現場での実践を行うことを決めた人における、その決定要因を明らかにすることを目的にした。

・プライマリケアでは医師-患者間の長期的な関係構築を重視し、継続的かつ包括的なケアを提供できる医師の育成が求められている。

・本研究の対象となった人の約2/3は最終的にプライマリケアや老年医学に特化した診療現場で実践を続けていくことを決めていた。その調査対象者に対して、どういった要因がその道で働いていくことを決めるうえでポジティブな影響、あるいはネガティブな影響を与えたかを明らかにできるように質問がなされた。

・プライマリケアでの診療に従事することを決めた回答者は継続的に診療を行うこと、指導医との関係性、プライマリケア医と患者との関係性などに関してポジティブに捉える傾向が強い傾向にあった。

・一方で、プライマリケアに関する道に進まなかった回答者を抽出すると、燃え尽き症候群(burn out)への不安や、患者のマネジメントに関する大きな負担感などが主なネガティブな要因として判明した。

・なお、名誉/名声、収入、ローン返済可能性などの要因はいずれのグループにおいても意思決定において重要視されていなかったことも明らかとなった。ただし、この部分の結果については他のこれまでの研究結果とは一致しないものである。

・小括すればプライマリケアの診療現場で働くことを選んだグループとそうでないグループの違いは各種影響要因に関する捉え方などであることが推察された。

・また進路選択を行う個人の特性や、レジデントになる前、最中、後の経験といった部分が関連していることも明らかである。プライマリケアの診療現場に触れる機会があった研修医はクリニックでの継続的な診療をポジティブに捉える傾向が強かった。しかし、そういった機会を有さなかった研修医はマネジメント業務を過剰な負担と捉える傾向にあった。

・DesiとRyanによると人間には本質的に有能感(competence)、自律性(autonomy)、関連性(relatedness)の3つのニーズを有している。研修医は外来診療の場において有能感を経験するまでには時間が不足していることも多い。また研修医には自律性、すなわち自分自身で進路を選択する能力と、関連性、すなわち他者と仕事とのつながりを持つことも重要となる。

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