緊急の再灌流治療をときに要する, ハイリスクな心電図所見

閉塞性心筋梗塞

・閉塞性心筋梗塞(OMI: occlusion myocardial infarction)は責任冠動脈の完全閉塞あるいはそれに準じるような程度の閉塞により生じる不可逆的な梗塞を指し、緊急的な再灌流療法が必要となる。

・閉塞性心筋梗塞のケースのなかには当初は明らかな心電図所見が認められないものの、時間経過とともに心筋梗塞の存在が明らかとなるケースがある。

・またSTEMIと診断可能な心電図所見が認められる患者で冠動脈造影検査を行うと閉塞が認められないこともある。そのようなケースの一部は血管造影検査までの間に自発的な再灌流が生じたものが含まれるはずである。実際、STEMIと診断されたケースの約1/3は冠動脈造影時点で動脈に閉塞が認められないという報告もある。

・心筋梗塞が病歴などから疑われるものの、心電図検査でSTEMIといえないようなケースのなかには緊急性の高い心電図所見がみられるものもあり、それらを把握しておくことは重要である。

・Martiらは冠動脈インターベンションを受けたSTEMIが疑われる504例の患者のうち、約20%で急性冠動脈閉塞を示唆する僅かなST上昇(subtle ST-segment elevation(0.1~1.0mm))が認められたと報告した。明らかなSTEMIとはいえない閉塞性心筋梗塞の約3/4は僅かなST上昇で特定可能なことがある。

ST上昇の定義

連続する2つの誘導でST上昇が認められる場合にSTEMIと判断する。

・ST上昇は誘導と性別とによって定義が異なる。

・通常は1mmでST上昇と判断するが、V2~3誘導だけは定義が異なる。

V2~3誘導では女性の場合は1.5mm男性は2.5mm(<40歳)あるいは2.0mm(40歳)でST上昇が生じていると判断される。

急性閉塞性心筋梗塞を示唆するハイリスクな心電図パターン

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<参考文献>

・Ricci F, Martini C, Scordo DM, Rossi D, Gallina S, Fedorowski A, Sciarra L, Chahal CAA, Meyers HP, Herman R, Smith SW. ECG Patterns of Occlusion Myocardial Infarction: A Narrative Review. Ann Emerg Med. 2025 Jan 17:S0196-0644(24)01250-2. doi: 10.1016/j.annemergmed.2024.11.019. Epub ahead of print. PMID: 39818676.

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