免疫不全患者における呼吸器感染症

免疫不全患者の呼吸器感染症

・免疫不全患者にはステロイド/免疫抑制薬の使用者、固形臓器移植患者、過去5年間に化学療法が行われたがん患者、血液悪性腫瘍患者などが含まれる。

・免疫不全患者では複数のウイルス、細菌、真菌、寄生虫による感染が生じる可能性があるが、非感染性の原因の可能性を考慮することもときに重要で、これには放射線性、薬剤性、びまん性肺胞出血、肺水腫、その他(癌性リンパ管症、GVHD、悪性リンパ腫、血管炎など)が含まれる。

・免疫不全のケースに限らないが、適切に培養検体を採取することは重要。

・肺炎像の原因を推定するためには臨床経過(症状発現からの日数など)、免疫不全の種類、X線撮影所見、臨床症状、HRCT所見などの総合的判断が重要。また、低酸素血症を回避するために必要であれば高流量酸素投与も躊躇しないことが重要。

免疫不全の分類ごとに想定しやすい微生物

<細胞性免疫不全(T-cells)>

・免疫不全の主な原因:

 ・ステロイド/固形臓器移植/Hairy cell leukemia(有毛細胞性白血病)/

  T細胞性急性白血病・T細胞リンパ腫/

  化学療法(フルダラビン/イブルチニブ/アレムツズマブなど)

・主な原因微生物:

 ・ニューモシスチス/クリプトコッカス/マイコバクテリア/トキソプラズマ

 ・日和見感染性/全身性ウイルス感染症

・検討する検査:

 ・血液培養/喀痰培養/尿中抗原/CMV・HSV・VZV-PCR/気管支肺胞洗浄(BAL)/

  トキソプラズマ・クリプトコッカス-PCR/β-Dグルカンなど

<液性免疫不全/低ガンマグロブリン血症>

・免疫不全の主な原因:

 ・脾摘/補体欠損/分類不能型免疫不全症/

  リツキシマブ(抗CD20)/骨髄腫/慢性リンパ性白血病

・主な原因微生物:

 ・細菌性感染症

 ・肺炎球菌/髄膜炎菌/インフルエンザ菌

・検討する検査:

 ・血液培養/喀痰培養/尿中抗原など

 <好中球/マクロファージ性>

・免疫不全の主な原因:

 ・ステロイド/固形臓器移植/好中球減少/骨髄異形成症候群(MDS)/

  急性骨髄性白血病/造血幹細胞移植

・主な原因微生物:

 ・全身性ウイルス感染症

 ・アスペルギルス/マイコバクテリア/ノカルジア/ムコール/トキソプラズマ

・検討する検査:

 ・血液培養/喀痰培養/尿中抗原/CMV・HSV・VZV-PCR/気管支肺胞洗浄(BAL)/

  抗酸菌培養/β-Dグルカン/ガラクトマンナン(Aspergillus fumigatusの特異抗原)/

  アスペルギルス・トキソプラズマ・クリプトコッカス-PCRなど

CTパターンによる病因推定

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 (※PMID:32034433より引用)

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<参考文献>

・Azoulay E, Russell L, Van de Louw A, Metaxa V, Bauer P, Povoa P, Montero JG, Loeches IM, Mehta S, Puxty K, Schellongowski P, Rello J, Mokart D, Lemiale V, Mirouse A; Nine-i Investigators. Diagnosis of severe respiratory infections in immunocompromised patients. Intensive Care Med. 2020 Feb;46(2):298-314. doi: 10.1007/s00134-019-05906-5. Epub 2020 Feb 7. PMID: 32034433; PMCID: PMC7080052.

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