低カリウム血症の補正とその種類

本ページでは低カリウム血症の鑑別やそのためのワークアップについての記載は割愛し、

低カリウム血症の補正の適応と、補正するための薬剤の種類についてまとめる。

カリウム補正の適応

嘔吐、下痢、利尿薬などを使用している低カリウム血症のケース

薬剤性低カリウム血症のケース

心不全、高血圧症、不整脈などを有するケース

内服での補正

軽度の低カリウム血症(2.5~3.4mEq/L)では一般的に内服薬での補正が可能である。

・通常は40~100mEq/日(40~100mmol/日)での投与を検討して、1日の総量を複数回に分割して投与することで消化管症状などを軽減できるかもしれない。

経口カリウム製剤の種類とその特徴

・経口カリウム製剤としては

 ①塩化カリウム製剤(塩化カリウム徐放錠600mg®、K.C.L.エリキシル®)

 ②有機酸カリウム(グルコン酸カリウム®、アスパラカリウム®) に分けられる。

 <塩化カリウム徐放錠®>

 ・塩化カリウム徐放錠は8mEq/錠で、添付文書上は1日2回投与(=16mEq/日)となっている。実際にはそれ以上の投与量を要する場合もある。

 ・K.C.Lエリキシルは液体製剤で、添付文書上の用量としては他剤と比較して最も多くカリウムを投与可能であるが、苦みが強く飲みにくいのが特徴。

 ・粘膜刺激作用があるため、消化管の通過障害があるケースでは原則使用しない。

 <グルコン酸カリウム®/アスパラカリウム®>

 ・代謝産物が重炭酸イオンに変わるため、代謝性アルカローシスを伴う低カリウム血症の補正では他剤を優先して使用することが無難かもしれない。

 ・グルコン酸カリウムには錠剤(2.5mEq/錠、5mEq/錠)、細粒(4mEq/g)がある。

 ・アスパラカリウムには錠剤(1.8mEq/錠)、散剤(2.9mEq/g)がある。

静注での補正

重度の低カリウム血症(<2.5mEq/L)、症候性低カリウム血症、腸管からの吸収に問題があるケース、内服治療に忍容性がないケースでは静注製剤での補正を検討する。

・あくまで一例であるが、軽度の低カリウム血症では75mmol/日程度、中等度の低カリウム血症では100mmol/日程度の投与を要する場合がある。

末梢ルートから静注製剤で補正を行う際の注意

・末梢ルートから静注製剤を使用して補正する場合は血管痛、静脈炎を合併する場合もある。

・したがって、①濃度 40mEq/L以下 ②投与速度 20mEq/hr以下 ③1日用量 100mEq以下 を原則として投与する。

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<参考文献>

・Kardalas E, Paschou SA, Anagnostis P, Muscogiuri G, Siasos G, Vryonidou A. Hypokalemia: a clinical update. Endocr Connect. 2018 Apr;7(4):R135-R146. doi: 10.1530/EC-18-0109. Epub 2018 Mar 14. PMID: 29540487; PMCID: PMC5881435.

・Pepin J, Shields C. Advances in diagnosis and management of hypokalemic and hyperkalemic emergencies. Emerg Med Pract. 2012 Feb;14(2):1-17; quiz 17-8. PMID: 22413702.

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