StridorとWheeze

Stridorとは

・Stridorは吸気性喘鳴ともよばれ、上気道(中枢気道)の狭窄により聴取される高張な副雑音である。また聴診器でなく直接的に聴取が可能なこともある。吸気時に聴取されることが一般的であるが、病態によっては呼気時のみ、あるいは二相性に聴取されることもある

・Stridorは胸部よりも頸部で、呼気時よりも吸気時で、それぞれより明瞭に聴取されることがWheezeと区別するポイントである。また急性の呼吸困難を伴う場合は緊急性が高い病態が存在している可能性を想定する。

・成人におけるStridorの原因としてはKiller sore throat(急性喉頭蓋炎など)、アナフィラキシー、声帯機能不全(VCD: vocal cord dysfunction)、喉頭腫瘍、甲状腺病変による上気道狭窄、気管癌などが挙げられる。

Wheezeとは

・Wheezeは呼気性喘鳴ともよばれ、胸部を中心に聴取される、連続的で高張な副雑音である。主に下気道の狭窄が示唆される。

・Wheezeには吸気性、呼気性、二相性に区別される。Wheezeで頻度が高い原因疾患としては喘息、COPD増悪、急性心不全が挙げられる。

・喘息やCOPD増悪などでは胸部全体でWheezeが聴取されることが多い。もしも胸部で局所的にWheezeが聴取される場合には、通常は異物、粘液栓や腫瘍による閉塞を想定する。なお、重症な喘息ではWheezeがむしろ聴取されないことがあり、注意が必要である(いわゆるSilent chest)。

 <呼吸機能検査>

・呼吸機能検査における閉塞性換気障害を来す疾患の特徴は1秒間の努力呼気量(1秒量)と努力肺活量の比(FEV1/FVC)低下である。

フローボリューム曲線の特徴により、閉塞性換気障害の区別を行うことに役立つ場合がある。ただし、さらなる原因追求のために気管支鏡検査を要する場合もある。

(※PMID: 33648966より引用)

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<参考文献>

・Bohadana A, Izbicki G, Kraman SS. Fundamentals of lung auscultation. N Engl J Med. 2014 Feb 20;370(8):744-51. doi: 10.1056/NEJMra1302901. PMID: 24552321.

・Bhat A, Ashton RW. All that wheezes…. Cleve Clin J Med. 2021 Mar 1;88(3):150-153. doi: 10.3949/ccjm.88a.20198. PMID: 33648966.

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