顔面紅斑 facial erythema
顔面紅斑が生じる病態生理
・顔面紅斑(facial erythema)は疫学的には良性疾患の割合が高い。ただし、重篤な疾患の初発症状であることがあり、主な鑑別疾患は知っておくと良いかもしれない。
・顔面における紅斑は血管平滑筋の受容体に作用するような、薬剤あるいは内因性ケミカルメディエーターによって生じることが多い。
病歴聴取
・顔面の紅斑においても病歴聴取が有効。
・紅斑が生じるタイミングはいつか。日内変動があり、発作性に生じるのか、あるいは持続的にみられる所見なのか。
・他の随伴症状がないか。下痢、気管支攣縮を示唆する病歴/症状、頭痛、血圧低下、頻脈、腹痛、蕁麻疹、掻痒感などの有無が鑑別に役立つことがある。
・職業歴や曝露歴になにか手がかりがないか。定期内服薬のほか、市販の漢方薬やサプリメントなども聴取する。また、接触性皮膚炎のようなアレルギー性の病態も鑑別に挙がるため、ときには例えば化粧品などの嗜好品についても尋ねてみることが有用。
・そのほか、アルコール摂取歴、運動/感情/ストレスと症状発現との関連性にも着目する。
主な鑑別疾患
<Commonな原因>
・感情/暑熱/食物・飲料などの影響による血管拡張
・酒さ
・更年期障害
・発熱
・アルコール摂取
<Less commonな原因>
・カルチノイド症候群(5-ヒドロキシインドール酢酸(24時間蓄尿検査))
・褐色細胞腫(スクリーニングとして随時尿中カテコラミン)
・全身性肥満細胞症(血中トリプターゼ、PGD2測定(24時間地区尿検査))
・アナフィラキシー
<その他の原因>
・甲状腺髄様がん(血中カルシトニン)
・膵臓腫瘍/VIPoma(血中VIP)
・腎細胞がん
・精神疾患(全般性不安障害など)
・特発性顔面紅潮
・神経性疾患/自律神経障害をきたす疾患群(Parkinson病、多発性硬化症、片頭痛、三叉神経疾患、Horner症候群、Frey症候群など)
・薬剤性(カルシウム拮抗薬、メトロニダゾールなど)
<Rareな原因>
・サルコイドーシス
・僧帽弁狭窄症
・胃ダンピング症候群
・ヒ素中毒
・POEMS症候群
・気管支カルチノイド
・神経芽腫
・Rothmund-Thomson症候群 など
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<参考文献>
・Lamas-Doménech N, Collgros H. Facial erythema: keys to the differential diagnosis. Actas Dermosifiliogr. 2015 Jun;106(5):427-9. English, Spanish. doi: 10.1016/j.ad.2014.10.005. Epub 2014 Nov 26. PMID: 25433765.