SFTS(severe fever with thrombocytopenia syndrome)

SFTSとは

・2006年に発熱、消化器症状、血小板減少を伴う患者が中国で確認され、2009年にそれはブニヤウイルスの一種により引き起こされていることがわかり、SFTSウイルスと命名されました。その後、2010年にSFTS(severe fever with thrombocytopenia syndrome)と命名されました。

・主に発熱、消化器症状(下痢など)、筋肉痛、リンパ節腫脹、血小板減少、肝障害などがみられます。

・致死率は中国で12%日本や韓国では50%程度という報告もあります。高齢であることはSFTSの重症化リスクとして考えられています。

感染経路

・現時点では主にマダニ咬傷を契機に感染すると考えられています。

・なお、SFTFウイルスの流行地域では家畜、げっ歯類などが広く感染していて、SFTFウイルスを増幅させるための宿主がこれらの生物に相当する可能性が示唆されています。

ヒトヒト感染の可能性は既に示唆されていて、主に患者の血液との直接的な接触による感染成立の可能性が考えられています。それゆえに、医療従事者や患者の周囲の人、獣医などはウイルスに対する曝露リスクは比較的高いです。

・潜伏期間としてはマダニ咬傷から5日から14日間程度とされています。

診断

・主に発熱、血小板減少や白血球減少、肝酵素上昇、CK上昇、LDH上昇などのSFTSに矛盾しない検査データと、マダニ咬傷歴、ウイルスへの曝露リスクなどの情報により臨床診断されます。

・確定診断には患者の血液検体からSFTSウイルスRNAの検出、ウイルスに対する血清中の抗体の存在の証明のいずれかが必要です。

・SFTSが臨床的に疑われる場合は最寄りの保健所に届け出るとともに、必要に応じて検査を依頼することとなります。

治療

・SFTSに有効なワクチンや治療薬は現時点では開発されていません。支持療法が基本となると思われます。

・以前、リバビリンの有効性について検討されたことがあります。結果として、311例の検討ではリバビリンは死亡率の減少に効果を示せず、有効な薬剤とはいえないということとなっています。

感染予防/感染管理

・感染予防および感染管理としてはマダニ咬傷に遭わないように個人防護具を使用すること、DEETの使用、SFTS患者やその疑いのある患者を隔離することなどが重要です。

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<参考文献>

・Lei XY, Liu MM, Yu XJ. Severe fever with thrombocytopenia syndrome and its pathogen SFTSV. Microbes Infect. 2015 Feb;17(2):149-54. doi: 10.1016/j.micinf.2014.12.002. Epub 2014 Dec 11. PMID: 25498868.

・Liu W, Lu QB, Cui N, et al. Case-fatality ratio and effectiveness of ribavirin therapy among hospitalized patients in china who had severe fever with thrombocytopenia syndrome. Clinical Infectious Diseases : an Official Publication of the Infectious Diseases Society of America. 2013 Nov;57(9):1292-1299. DOI: 10.1093/cid/cit530. PMID: 23965284.

・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A 厚生労働省(2024年04月10日閲覧)

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