介達痛 Indirect pain
介達痛(indirect pain)の有無を評価することにより胸壁痛の鑑別に役立つ場合があります。ただ、介達痛を取り上げている書籍や文献は多いとはいえず、触れておこうと思います。
介達痛とは
・介達痛とは患部から離れた場所の刺激により、患部に疼痛が生じることを指します。聞きなじみのないこともあるかもしれませんが、後に紹介する画像や動画を確認するとイメージが湧きやすくなると思います。
・特に肋軟骨炎で知られることが多い手技と思いますが、個人的には肋軟骨炎に限らず、胸壁の問題(特に肋骨と肋間筋との問題)を検出することを目的として利用しています。
・介達痛の診察手技は2つ紹介しますが、いずれも感度などをはじめとした診断学的特性について調べられた文献を見つけることができませんでした。もしかしたら存在しないかもしれませんが、もしも参考となる資料をお持ちの方がいれば、教えていただけますと幸いです。
介達痛に関連する代表的な診察手技
・以下の2つの手技が代表的な手技に相当します。一応、文章で診察法の内容を記載しますが、恐らく伝わりづらいだろうと思います。最後に、画像と動画とを掲載しているWebサイトを紹介しておきます。
<①Crowing rooster maneuver>
・検者が患者さんの後ろに立ち、患者の両側上腕を後上方へ牽引し、患部に疼痛が生じるかどうかを確認する手技です。
<②Horizontal arm traction>
・検者が患者さんの奥側の上腕を牽引して、患部に疼痛が生じるかどうかを確認する手技です。
<診察手技を画像および動画で確認するために有用なWebサイト>
・画像の参照:
・UpToDateの「筋骨格系の胸痛の臨床的評価」というトピック内の「GRAPHICS」を参照すると「Figure」内で閲覧可能です。
・動画の参照:
・肋軟骨炎に関するReview article(PMID:34264599)内で、動画で診察法を確認することができ、オススメです。
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<参考文献>
・UpToDate トピック名「筋骨格系の胸痛の臨床的評価」(2024年03月24日 閲覧)
・Mott T, Jones G, Roman K. Costochondritis: Rapid Evidence Review. Am Fam Physician. 2021 Jul 1;104(1):73-78. PMID: 34264599.